ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
*
「はい、白井さん」
店内を出て、お店の壁に織くんとふたりで背中を預けながら。
織くんが肉まんを半分こにしてそのひとつを私に差し出してくれた。
「わっ……あ、ありがとう……」
「まるまる一個だとご飯食べられないかもだから。半分ずつね」
「お、織くんと……半分こ……」
ジッと、もらったばかりの肉まんを見つめる。
わあ……織くんと半分こした肉まん……どうしようこんなもの食べられない。部屋に飾る。うぅ……。
「早く食べないと冷めちゃうよ?」
「だ、だって、もったいなすぎてっ!!これは黄金の肉まんだよ……織くんと半分にした黄金の肉まんっ!!食べられないっ!!展示すべき!!」
さっきあまりにも推しについて語ってしまったためか、諦めたようにペラペラと気持ち悪いセリフが出てきてしまう。