ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


「……また来たらいいよ。明日でも明後日でも。3ヶ月は、白井さんずっとうちにいるんだから」


「っ、織くん……」


私の発言を『気持ち悪い』なんて言わないでそんな風に言ってくれるの、織くんだけだよ。


いやきっと心の中では気持ち悪いとか思ってるかもしれないけど。


それでも、『また来たらいいよ』って。
泣いてしまう。


「いっ、いただきますっ」


「どうぞ」


パクっと一口かじれば、ふわっと湯気が見えて。

皮のもちもち食感と甘み、お肉のジューシーさが口いっぱいに広がって。


今まで食べてきた肉まんの100億倍美味しい。


そんな風に思った時だった。


『初花の方が絶対おっきいだろ!』


『そんなことないっ!平等だよ平等!』


思い出してしまった。


広夢と、2人で肉まんを分けて食べていた日々を。

< 80 / 277 >

この作品をシェア

pagetop