ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


「……白井さん?」


「はっ、」


「大丈夫?」


「っ!!」


一瞬、思い出に浸っていたら、織くんが私の顔を心配そうに覗き込んでいた。


薄茶色の綺麗な瞳がうんと近くにあって。
息が止まる。


「だ、大丈夫っ!!ちょっと、昔のこと思い出しちゃって」


「昔?」


「……うん、幼なじみと、よく学校帰りに食べてたから、」


こんな話、織くんにするべきじゃないのに。
あんまり優しい声で問いかけてくれるから、つい話してしまう。


「幼なじみ……もしかしてこの前持ってた写真の人?」


「っ、」


あ。
そっか。


織くんにはあの写真、見られているんだよね。


「……うん、広夢って言うんだ」


久しぶりに彼の名前を口に出して、胸がギュッと締め付けられるような感覚になる。


……全然、吹っ切れてないな。
未練タラタラだ。

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