ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
まだ彼を思い出して浸れちゃう自分に呆れて。悔しくて。きっと今の広夢は、私のことなんて思い出す間もないから。
目の奥が熱くなって、ギュッと、肉まんを持つ手に力を入れた時だった。
「っ、」
突然、織くんの手が伸びてきたかと思えば、その手が私の手首を掴んで。
私の半分の肉まんが、織くんの口元に持っていかれて。
え……。
パクっと一口食べられてしまった。
「お、織くん……」
「白井さんが全然食べないから」
「やっ!食べてたよ……!一瞬、意識飛んでただけで、ていうか、」
なんですか、今の。
「白井さん、顔真っ赤」
「だ、だって!そりゃなるよっ!!」
私がそう訴えれば、織くんがまたフワッと笑って。
溶けちゃいそうだ。
顔が熱い。
顔だけじゃない。身体全部。
さっきまで胸が痛かったはずなのに、織くんにドキドキさせられて、痛みがなくなる。