ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「えーそうなの?親としてはそんな風に思われてるの悪い気はしないけど……あ、ほら、織ってあんまり愛想良くないじゃない?だから今までも友達も少なくて……だから学校でちゃんとやれているのか心配だったのよ……」
「いや、そこがまた織くんのいいところなんです!誰にでもニコニコしないからこそ、いざそういう表情見たときのレア感と言ったら……」
そう言いながら、昨日織くんが見せてくれた笑顔を思い出して、にやけてしまいそうになる。
「……全然そんなんじゃないから」
なんて織くんはご謙遜。
いや、天然だから本当に気付いていないのかもしれない、と思っていたら、
オレンジジュースを飲んだ織くんが口を開いた。
「……よく知らない人たちからどんなに良く思われても、好きな人が自分と同じ熱量で自分のこと思ってくれなきゃ、意味ないでしょ」
え。
愛菜さんはそれを聞いて、「まぁ」と目を大きく開けている。
私はと言うと……。
「お、織くん、すすす好きな人いるの?!」
いつものように遅れて驚いて思わず席立つと、織くんが「うん」と頷いた。
ま、まじですか。
食べていたベーコンが喉に詰まりそうになった。