先輩。教えてあげる
私の携帯が壊れてしまって、彼の連絡先が消えてからは交流もなかった。
それでも彼への想いはいつまで経ってもこの胸に留まり続けて消えてくれないから。
この行き場のない気持ちをどうにかしたくて私が会いに来たから、こうしてまた会えているだけ。
いつだってこの重くて変わらない大切な想いは、私から彼への一方通行なんだ。
「まぁ、俺は彼女いるんだけどね」
……ほらね?
彼はとっくに可愛い彼女が出来てる。
別に、そんなに衝撃は受けてないもん。
ただちょっと、心の準備が足りなかっただけで、傷はそんなに深くないよ。薄々わかってたことだし。うん。
涙なんて、出るわけないし。
動かなかった私に泣く権利なんてないんだよ。
だから、早くいつもみたいに軽口叩かなきゃ。
笑顔を作ってテンポのいい会話をしなきゃいけないのに。
「………っ」
口を開いてみても頭が働かなくて言葉が出てこない。
俯いて泣きそうな顔を隠すので精一杯。
唯一浮かんでくるのは後悔の念ばかりだ。