先輩。教えてあげる



想いを伝えようと決心するのが遅すぎた。


もっと早く言えばよかった。
もっと早く素直になればよかった。


中学時代。毎日一緒に帰ってた。
休みの日にだって家に遊びに行った。
一緒にご飯も食べた、お昼寝もした。


夏には花火を見に行ったし、冬にはイルミネーションを見に行った。


自惚れなんかじゃなくて、きっとお互いに特別で大切な存在だったのに。
確かな関係になりたかったのに。


……行動に移さなかった自分は大バカもの。


あぁ、しっかりメイクしてきたんだけどな。
顔が崩れちゃったらどうしよう。
可愛いって、もう言ってもらえなくなっちゃう。


もはや考えたくなくて別のことに思考をずらしていると。


「────なんて言ったら、先輩はどうするの?」


間を溜めに溜めた彼は、涙目の私の顔を覗き込んで意地悪く笑ってみせた。


そして、慰めるために私を抱き寄せて私の頭の上に顎を乗せる。


……なんかもう、なにからなにまでムカつく後輩だ。


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