先輩。教えてあげる


しばらくして私の様子が落ち着くと、彼は向き直って私のことを追い詰めた。


「ねぇ、先輩。教えてよ」


じっと見つめるその視線はさっきのやわらかなものとは違っていて。


逃がさないと言わんばかりの鋭さを含み、私を捕らえて離さない。
逃がさないようにと、しっかり腕でも囲んでくるところに意志の強さを感じる。


初めて彼の本心が見えた気がして、過去最高の胸の高鳴りを覚えた。


一瞬だけ呼吸が止まったと感じるほどのドキドキ。
この人はどれだけ私の心臓をいじめれば気が済むんだろう。


「先輩の気持ちを聞かせて」

「もうわかってるくせに。意地悪」

「先輩の反応が可愛すぎて、つい」

「可愛いって言えば許されると思うな!」

「ほらまた可愛い」


私で遊んでいるのが丸わかりで面白くないはずなのに、ほんとに可愛いと思っているのがわかるほど声に気持ちがこもっているから。


「……ずっと前から、今も好き」


こうして彼の思惑通りに動いてしまう。


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