先輩。教えてあげる
彼は私のことを喜ばせる天才だから、
「俺もずっと前から先輩のことが好き。俺の彼女になってくれる?」
と、関係の変化は自分から言い出すらしい。
……気持ちは私から言わせたくせにね。
ほんと、意地悪でずるくて、ちゃんとかっこいい。
こんなの、頷く以外の選択があるわけないじゃんね。
「あー、長かった。誰かさんが音信不通になるし都会に行っちゃうしで会えなくてしんどかったなー」
「そ、それはごめん……こうして会いに来たから許してよ」
「そりゃ可愛い彼女だから許すけど。焦らされた埋め合わせはもちろんしてくれるよね?」
「えっ……」
嫌な予感がして絶句した私にニヤッと黒い笑みを浮かべ、じりじりと壁際に追い詰めてくる年下彼氏くん。
えっと、主導権を私にくれないかな?
一応年上なんだけどな……?
大事な彼女の気持ちをもうちょっと尊重してくれてもいいじゃん?ね?
「なーに俺から逃げようとしてんの?ほら、大人しく受け入れなよ」
「ちょ、まっ、やめ……」
「やめない」