ひと夏の、
この男によると、どうやら私は友達に騙されているらしい。
ついこの間何故か浮気を疑われて別れた元彼に、あることないことを吹き込んだのが私の友達なんだとか。今日の合コンその友達がセッティングしたんだけど、というのは置いておいても、なんだそれ昼ドラかと突っ込みたくなるほど滑稽な話だ。


──滑稽な話だと笑いたかった。
不思議に思っていたどれもこれも辻褄が合って、腑に落ちた。それが堪らなく悔しくて、追い打ちをかけるように初対面の男が毒を吐いたから、思わず麦茶をぶっかけてしまった。


この男が元彼だったら、後味悪い思いもしなくてよかったのに。あぁほんと、悔しくて悔しくて一生忘れられそうにない。

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