ひと夏の、
「家を、出ることにした」

「……」

「これからは、ここからずっと離れたおばあちゃん家で暮らす」

「……」

「私が、自分で決めたの。私はちゃんとした家に生まれなかったけど、遼介くんみたいなちゃんとした人間になりたい」


そうしたら、あなたに胸を張って会えると思うから。


遼介くんの顔を見ては言えなかった。不安で不安で、どうしようもなかった。
でも、遼介くんには一番に伝えたかった。

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