ひと夏の、
拝啓


この手紙が、貴方に届くことはないでしょう。


私はこの手紙を書き終えると、庭の百日紅の木の下で火を起こし、貴方と交した沢山の手紙と共に燃やしてしまおうと思います。
貴方への想いを、ひとつも残さずに涙に変えてしまおうと思います。
ですからこれは、貴方への最後の恋文なのです。

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