ひと夏の、
あ、この人今から私が考えてるのと同じこと言うなぁって、何となく分かることが稀にある。


雰囲気とか言葉の間とか、あるいは誰もが思い至る思考だったりで、私と同じだって。


今がまさにそうだった。


「知恵熱?」


私の目より少し上、おでこの辺りを見つめながら無表情で呟く男に、私はうるさいなと蚊の鳴くような声で反論するのが精一杯だった。

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