ひと夏の、
「だって楽しみにしてたんだもん。朔良はそうじゃないかもしれないけど、私はずっと楽しみにしてたの!」


カレンダーに花丸つけた。
寝る前にあと何日か数えた。
まるで誕生日を待つ子供みたいに。


「遊園地に来たかったわけじゃない。朔良に会いたかった。朔良は他校だからなかなか予定合わないし、私可愛いわけでも器量がいいわけでもないから、不安でいてもたってもいられなかった。朔良には分かんないかもしれないけど」


最後は涙で詰まって、朔良に聞こえたかは分からなかった。
私は朔良に腕を掴まれたまま、ボロボロと涙を零してしゃくりを上げた。


面倒な女って思われたかも。こういうの、重い女って言うんだっけ。朔良が何も言わないから、どうしていいのか分からないな。


熱のせいで、頭の中がぐちゃぐちゃだった。

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