キミに一条の幸福を
不愛想なのに、ここで寄り添うような言い方はずるいと思う。
これが自分の努力を何も知らない相手だったら『知らないくせに適当なこと言うな!』って怒っていたかもしれない。
だが、晴樹は芽衣子の作品の一番の読者だった。
完成したら一番に読んでくれて、一言だけど感想もくれる。
誤字脱字があれば指摘してくれて、矛盾点があれば一緒に調べてくれる。
そんな相手からの寄り添う言葉に、涙が滲んだ。
「え? ちょっ、悪い。泣かせちまったか?」
不愛想で淡々と話す晴樹が慌て始める。
そうだった、昔からこいつは自分が泣くと弱いんだった。
そんなことを思い出しながら「泣いてない」と主張する。
「雨が顔に当たっただけだよ」
「……そうか?」
信じたかどうかは分からなかったが、晴樹はそれ以上追及してこなかった。
しばらくして落ち着いても、雨はまだ降っている。
「……これ、止むのかな?」
少し不安になって呟くと、晴樹が「止むよ」と答える。
「夕立だからな」
「そっか」
そんな会話をして、また二人黙り込んでしまう。
これが自分の努力を何も知らない相手だったら『知らないくせに適当なこと言うな!』って怒っていたかもしれない。
だが、晴樹は芽衣子の作品の一番の読者だった。
完成したら一番に読んでくれて、一言だけど感想もくれる。
誤字脱字があれば指摘してくれて、矛盾点があれば一緒に調べてくれる。
そんな相手からの寄り添う言葉に、涙が滲んだ。
「え? ちょっ、悪い。泣かせちまったか?」
不愛想で淡々と話す晴樹が慌て始める。
そうだった、昔からこいつは自分が泣くと弱いんだった。
そんなことを思い出しながら「泣いてない」と主張する。
「雨が顔に当たっただけだよ」
「……そうか?」
信じたかどうかは分からなかったが、晴樹はそれ以上追及してこなかった。
しばらくして落ち着いても、雨はまだ降っている。
「……これ、止むのかな?」
少し不安になって呟くと、晴樹が「止むよ」と答える。
「夕立だからな」
「そっか」
そんな会話をして、また二人黙り込んでしまう。