エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
プロローグ
冷たいシーツに押し倒されて、ネグリジェのリボンを解かれた。
友里(ゆり)は夫に組み敷かれている。
仕事中は冷淡にさえ見える切れ長の瞳は今、友里を惑わそうとするかのような色香を放ち、湿らせた唇と器用な手が、妻の体をもてあそぶ。
押し寄せる快楽の波にもまれても、心はそこから抜け出そうともがいていた。
結婚以来、何度も抱かれているというのに、いまだにこの状況を受け入れていいのかわからない。
彼が繋がろうとしているのを察した友里は、両手でその胸を押し返し、戸惑う瞳を向けた。
「待ってください。今日は――」
やめてほしいと頼む前に、唇を塞がれた。
容赦なく繋がってから唇を離した彼は、切なげな瞳に妻を映す。
「半年間……離婚するまでは、俺の妻だ」
離婚か、結婚継続か、決定権は友里にゆだねられている。
どっちを選んだらいいのか、友里にはまだ、わからない――。
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