エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
雅樹は心底ホッとして、妻を抱きしめた。

「玄関を開けるのが怖かった。君が愛想をつかせて出ていったらと思って」

「そんな心配はいらないですよ。私の家はここです」

「ということは、結婚はこのまま継続でいいんだな?」

「はい。私、雅樹さんが大好きです」

雅樹がなによりほしかったのは、その言葉。

自分を好きにならなければ離婚してもいいという条件をつけたのは雅樹。

半年あれば、なんとかなるだろうと思って言ったのだが、日増しに愛情を深めたのは雅樹の方で、好きになればなるほど自信がなくなり今日の日が来るのが怖かった。

なので今、鳥肌が立つほどの喜びに包まれている。

出かけた時のスーツを着て帰ってきた雅樹は、ジャケットのポケットから指輪ケースを取り出すと、蓋を開けて友里に差し出した。

「友里にプレゼント。半年間ありがとうという意味と、これから先もよろしくという思いを込めて。受け取ってくれ」

「素敵な指輪……」

大粒ダイヤのプラチナリングは、かなり前からオーダーメイドで頼んでいたもの。

けれども友里はその高価な輝きよりも、雅樹が指輪に込めた想いの方が嬉しそうだ。

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