エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
こんなにワクワクと胸が弾むのは、いつ以来だろうか。

自己評価として、感情を乱さない方だと思っていたのに、友里と結婚してからというもの心が揺さぶられてばかりいる。

そんな自分を悪くないとも思っていた。

雅樹はフローリングの床に片膝をつくと、友里のお腹にそっと頬をあてた。

「お父さんだよ。ふたりとも元気に生まれてこいよ」

そう言って話しかければ、友里がクスクスと笑う。

「生まれるのは来年です。まだまだ先ですよ」

「楽しみだな」

立ち上がった雅樹は背中から友里を抱きしめた。

お腹に手を当てている友里の手に、自分の手を重ね、「キスしていい?」と甘く誘う。

「はい……」

恥ずかしそうな返事の後、友里が顔を横に向けた。

雅樹は柔らかな唇の感触を味わいながら、妻と子供たちを誰より幸せにしようと、心に誓うのであった。





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