エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
真剣な顔でそう頼まれたからだ。
「少し眠るといい」
優しく大きな手が友里の額を温める。
友里は頷いて目を閉じ、ウトウトと眠りに落ちた――。
一時間ほど経っただろうか。
点滴の針を止めていたテープがはがされた感触で目を覚ませば、「悪い、起こしてしまった」と雅樹がベッドサイドに片膝をついていた。
「点滴が終わったよ。気分は?」
スッキリとまでいかないが、もやもやと晴れることのなかった吐き気は、今は落ち着いていた。
「かなり楽になりました」
微笑んで答えれば、雅樹がホッと息をついた。
「よかった。顔色もよくなったな。なにか食べられそうなものはある? 気分転換に音楽や本、DVD、なんでも揃えるから言ってくれ」
過保護な雅樹の献身ぶりは、妊娠してからずっとである。
けれども性格上、それに慣れることはできず、友里は申し訳なく思った。
「なんだか私、すっかり甘え癖がついてしまって……」
眉尻を下げれば、雅樹に眉間に皺が寄る。
「もっと甘えてくれ。友里は我慢する性格だから心配だ。苦しみを代わってやれない分、俺にもなにかをさせてほしい」
「少し眠るといい」
優しく大きな手が友里の額を温める。
友里は頷いて目を閉じ、ウトウトと眠りに落ちた――。
一時間ほど経っただろうか。
点滴の針を止めていたテープがはがされた感触で目を覚ませば、「悪い、起こしてしまった」と雅樹がベッドサイドに片膝をついていた。
「点滴が終わったよ。気分は?」
スッキリとまでいかないが、もやもやと晴れることのなかった吐き気は、今は落ち着いていた。
「かなり楽になりました」
微笑んで答えれば、雅樹がホッと息をついた。
「よかった。顔色もよくなったな。なにか食べられそうなものはある? 気分転換に音楽や本、DVD、なんでも揃えるから言ってくれ」
過保護な雅樹の献身ぶりは、妊娠してからずっとである。
けれども性格上、それに慣れることはできず、友里は申し訳なく思った。
「なんだか私、すっかり甘え癖がついてしまって……」
眉尻を下げれば、雅樹に眉間に皺が寄る。
「もっと甘えてくれ。友里は我慢する性格だから心配だ。苦しみを代わってやれない分、俺にもなにかをさせてほしい」