エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
彼と一年以上夫婦を続けていれば、不機嫌でそういう顔をしているわけでないのはわかる。
「雅樹さん、泣きたいのをこらえているんですか?」
夫の気持ちを読んで問いかければ、雅樹が唇を噛んだ。
「言わないでくれ……」
一歩下がってにこにこと夫婦を見守っていた助産師が、「お父さんも抱っこしてみましょうか」と雅樹に声をかけた。
助産師は女の子の方の赤ちゃんを抱き上げると、ひょいと雅樹の腕の中に移す。
怖々といった様子で抱っこしている雅樹。
普段、少しでもミスすれば命取りな手術をしている彼が、緊張を隠せない様子で我が子を抱く姿は新鮮だ。
そして、こらえきれずに涙を流すのも初めて見る。
「軽いのに重たい気がする。命の重みだな。俺たちの子。生まれてきてくれてありがとう……」
雅樹の胸の震えが伝わってきて、友里の目にも涙が浮かぶ。
この感動は一生忘れないと、心に焼き付けた友里であった。
「雅樹さん、泣きたいのをこらえているんですか?」
夫の気持ちを読んで問いかければ、雅樹が唇を噛んだ。
「言わないでくれ……」
一歩下がってにこにこと夫婦を見守っていた助産師が、「お父さんも抱っこしてみましょうか」と雅樹に声をかけた。
助産師は女の子の方の赤ちゃんを抱き上げると、ひょいと雅樹の腕の中に移す。
怖々といった様子で抱っこしている雅樹。
普段、少しでもミスすれば命取りな手術をしている彼が、緊張を隠せない様子で我が子を抱く姿は新鮮だ。
そして、こらえきれずに涙を流すのも初めて見る。
「軽いのに重たい気がする。命の重みだな。俺たちの子。生まれてきてくれてありがとう……」
雅樹の胸の震えが伝わってきて、友里の目にも涙が浮かぶ。
この感動は一生忘れないと、心に焼き付けた友里であった。