エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
ナースステーションの出入り口は二か所あって、もう一方から白衣を羽織った雅樹が入ってきた。
すると看護師たちの注意が一斉に雅樹に向く。
「外来終わったのかな。今日は早いね」
「私が回診につくよ。501号の田中さんの点滴交換お願い」
「あ、ずるい。香坂先生の回診は私も狙ってたのに」
雅樹が「回診。誰かついて」と言うや否や、ふたりの看護師が競うように動きだす。
消毒薬やガーゼ、友里にはわからない医療用具を山ほど積んだカートを押し、雅樹の後を追ってナースステーションを飛び出していった。
残ったひとりは準備した点滴や注射器をワゴンにのせている。
「出遅れた」と残念そうに呟いて、彼女も忙しそうに廊下へ出ていった。
ナースステーション内には、仕切られた半個室状のスペースに看護師長がいるだけだ。
午前中は特に慌ただしく、看護師が出払っていることも珍しくない。
逃げずにすんだ友里はホッとして中に入り、カウンター前の椅子に座った。
(香坂先生に救われた……)
彼は陰口を聞いていないだろうし、そんなつもりもないとは思うが、友里は感謝する。
すると看護師たちの注意が一斉に雅樹に向く。
「外来終わったのかな。今日は早いね」
「私が回診につくよ。501号の田中さんの点滴交換お願い」
「あ、ずるい。香坂先生の回診は私も狙ってたのに」
雅樹が「回診。誰かついて」と言うや否や、ふたりの看護師が競うように動きだす。
消毒薬やガーゼ、友里にはわからない医療用具を山ほど積んだカートを押し、雅樹の後を追ってナースステーションを飛び出していった。
残ったひとりは準備した点滴や注射器をワゴンにのせている。
「出遅れた」と残念そうに呟いて、彼女も忙しそうに廊下へ出ていった。
ナースステーション内には、仕切られた半個室状のスペースに看護師長がいるだけだ。
午前中は特に慌ただしく、看護師が出払っていることも珍しくない。
逃げずにすんだ友里はホッとして中に入り、カウンター前の椅子に座った。
(香坂先生に救われた……)
彼は陰口を聞いていないだろうし、そんなつもりもないとは思うが、友里は感謝する。