エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
医師はふたり。雅樹と女医の華衣(かい)がCT画像を見ながらなにかを話している。
珍しく雅樹がここに長居している理由は、華衣の質問に答えているためだろう。
華衣は研修医で、雅樹は指導医だ。
日勤の看護師たちはこの後きっと、看護記録を書いたり、看護計画を立てたりと、勤務中にできなかった仕事を残業して片付けるのだと思われる。
皆、まだまだ忙しそうだ。
それは友里には手伝えないので、「お先に失礼します」と小声で挨拶し、誰にともなく会釈する。
そしてカウンターから離れたら、内線電話が鳴り響いて足を止められた。
受話器を取ろうとしたが、友里より看護師長の方が早かった。
そのままナースステーションから出ようとした友里だが、電話を切った看護師長に呼び止められる。
「友里さん、理事長先生からよ。仕事が終わったら、理事長室に来てほしいんですって」
「おと……、理事長先生からですか。わかりました。ありがとうございます」
理事長室は手術部や医局のある三階の東側、最奥にある。
階段で三階に下りると、他のフロアより静かで、ほとんど物音がしない。
珍しく雅樹がここに長居している理由は、華衣の質問に答えているためだろう。
華衣は研修医で、雅樹は指導医だ。
日勤の看護師たちはこの後きっと、看護記録を書いたり、看護計画を立てたりと、勤務中にできなかった仕事を残業して片付けるのだと思われる。
皆、まだまだ忙しそうだ。
それは友里には手伝えないので、「お先に失礼します」と小声で挨拶し、誰にともなく会釈する。
そしてカウンターから離れたら、内線電話が鳴り響いて足を止められた。
受話器を取ろうとしたが、友里より看護師長の方が早かった。
そのままナースステーションから出ようとした友里だが、電話を切った看護師長に呼び止められる。
「友里さん、理事長先生からよ。仕事が終わったら、理事長室に来てほしいんですって」
「おと……、理事長先生からですか。わかりました。ありがとうございます」
理事長室は手術部や医局のある三階の東側、最奥にある。
階段で三階に下りると、他のフロアより静かで、ほとんど物音がしない。