エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
二重自動扉の手術部への入口前を通り過ぎ、奥へと進みつつ、友里は顔を曇らせる。
(自宅でも話せるのに、わざわざ呼び出すなんて、どんな用事なの……)
なんとなくだが、困ることを言われそうな予感がする。
(私が嫌がるとわかっているから、話を切り上げやすそうな、職場で言おうとしているとか……)
考えすぎだろうかと思いつつ、理事長室前に立った。
ノックをして入室する。
「失礼します……」
執務机に向かっていた父が、友里を見て立ち上がる。
「疲れただろう。そこに座りなさい」
ソファを勧め、マシンでコーヒーまで淹れてくれるとは、父らしくない。
コの字型に設置された黒革のソファに、父と娘は離れて座った。
姿勢を正して父親を見る友里は、嫌な予感が強まり、鼓動を加速させている。
(お父さんが優しい。やっぱりなにか、私にとって都合が悪いことを言おうとしているんだ……)
「飲みなさい」と言われ、ひと口だけコーヒーを飲む。
そうしたら、「仕事はどうだ?」と父が切り出した。
(自宅でも話せるのに、わざわざ呼び出すなんて、どんな用事なの……)
なんとなくだが、困ることを言われそうな予感がする。
(私が嫌がるとわかっているから、話を切り上げやすそうな、職場で言おうとしているとか……)
考えすぎだろうかと思いつつ、理事長室前に立った。
ノックをして入室する。
「失礼します……」
執務机に向かっていた父が、友里を見て立ち上がる。
「疲れただろう。そこに座りなさい」
ソファを勧め、マシンでコーヒーまで淹れてくれるとは、父らしくない。
コの字型に設置された黒革のソファに、父と娘は離れて座った。
姿勢を正して父親を見る友里は、嫌な予感が強まり、鼓動を加速させている。
(お父さんが優しい。やっぱりなにか、私にとって都合が悪いことを言おうとしているんだ……)
「飲みなさい」と言われ、ひと口だけコーヒーを飲む。
そうしたら、「仕事はどうだ?」と父が切り出した。