エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
雅樹の走る靴音が遠のくと同時に、救急車のサイレンが聞こえてきて、それは徐々に大きくなりピタリと止まる。

きっとその患者が到着したのだろう。

(重症の患者さん、大丈夫かな。香坂先生なら必ず助けてくれるよね……)

患者を心配した後に、「結婚か……」と独り言ちた。

結婚生活がうまくいくとは到底思えず、我慢の半年間になりそうだ。

医師として信頼している一方で、夫としての雅樹には不安しかない友里であった。



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