エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
本当の理由は半年後に離婚するかもしれないからで、挙式も披露宴も『いずれ』という説明で父には一応の了解を得られている。
院内でふたりの結婚を知っているのは、脳神経外科病棟の責任者である看護師長と、雅樹の上司である外科医長と院長、それと手続き上の理由で事務の人が数人といったところだろうか。
真由美には迷った末に昨日、打ち明けた。
仰天されて廊下で『香坂先生と結――』と叫ばれて、慌てて口を押えたのだ。
だから今日は、こんな場所に来ている。
コンビニのおにぎり片手に真由美が興奮気味に問う。
「友里が香坂先生の家に引っ越したって言ってたよね。どんな家なの?」。
「どんなって、ええと……普通のマンションだよ」
雅樹に自宅は病院近くのタワーマンション。
ジムやプール、五十人ほどがパーティーを開けそうな多目的室などの共有設備がある。
院内でふたりの結婚を知っているのは、脳神経外科病棟の責任者である看護師長と、雅樹の上司である外科医長と院長、それと手続き上の理由で事務の人が数人といったところだろうか。
真由美には迷った末に昨日、打ち明けた。
仰天されて廊下で『香坂先生と結――』と叫ばれて、慌てて口を押えたのだ。
だから今日は、こんな場所に来ている。
コンビニのおにぎり片手に真由美が興奮気味に問う。
「友里が香坂先生の家に引っ越したって言ってたよね。どんな家なの?」。
「どんなって、ええと……普通のマンションだよ」
雅樹に自宅は病院近くのタワーマンション。
ジムやプール、五十人ほどがパーティーを開けそうな多目的室などの共有設備がある。