エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
そう言われた時には、友里は恥ずかしくて耳まで朱に染まり、「もういいです、わかりましたので……」と止めてしまった。

胸が歓喜に震え、涙腺が緩んだ。

「それは、嬉し涙?」

友里が頷けば、溢れた涙を雅樹の人差し指が拭ってくれた。

嬉しげに友里の顔をじっと見つめていた雅樹だが、急に真顔になると、友里の顎をすくって涼しげな瞳に色を灯した。

友里は期待に胸を弾ませ、そっと目を閉じる。

もう戸惑いはない。

ときめきと喜びだけを胸に、夫のキスを受け入れた。


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