エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
審判の日

窓の外には雲ひとつない夏空が広がっている。

自宅のリビングからそれを眺めている雅樹は、珍しくスーツ姿だ。

今日はいよいよ審判の日。

友里にこの結婚を継続するかどうかを決めてもらう日だ。

(友里から好きだとは言われていない。ひょっとしたら、お互いに愛情があると思っているのは俺だけかもしれない。俺の妻であるせいでつらい思いもさせてしまった。もし離婚したいと言われたら……考えるのも怖いな)

失いたくないからこそ、余計に臆病になってしまう。

壁掛け時計が十四時をさしている。

今日は平日だが、午前中の外来診察を終えた後、午後から休暇を申請していた雅樹は、友里をデートに誘った。

映画にショッピング、夜は夜景の見えるレストランで食事をし、これからも夫婦でいようという意味を込めて指輪をプレゼントする予定である。
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