5時からヒロイン
医師からは、1週間の入院をした方がいいと言われた。
だけど至って元気な私は、嫌で仕方がないが、でもこの病室にはずっといたいと思う。
ホテルのスイートルームというのは、大げさじゃなくて、内装は温かなクリーム色でまとめられていて、とても落ち着く。
しかしそんな極楽な入院生活でも、どうしても嫌なのが食事だ。
「あ~ん、嫌だぁ」
下痢と少し嘔吐があった私は、短時間の絶食を強いられ、その後は、水分をとってやっとおも湯になった。胃腸系の病気はこれだから嫌だ。看護師さんからは、「徐々に固いご飯になりますよ」と言っていたが、まだ先だ。
今朝は、検温と問診を受けて、やっとシャワーが浴びられた。
「さっぱりした」
病院着といっても、かわいい花柄のパジャマで、気分がいい。退院時は持って帰れると看護師さんが教えてくれ、至れり尽くせりだ。
「お腹が空いた」
離乳食のような朝ご飯では、満足感もない。でもこうなってしまったのは、自分のせいだから我慢する。テレビを点けて観るけれど、グルメ情報ばかりで食べられない私は、みじめな気分になってすぐにテレビを消した。
「そうだ、弥生に電話しよう」
仕事中だと言うことは分かっていたが、入院してしまったことを真っ先に伝えていた弥生は、とても心配していた。「仕事中でもいいから必ず電話をして」と言われていたのだ。
いくらいつでもいいと言われていても、さすがに業務中はどうなのだろうと迷ったが、心配させたままはいけないのではと思い、ためらいつつも電話を掛けた。
やっぱり弥生は心配していてくれたようで、ワンコールで電話に出た。
「ごめん、仕事中に」
『いいよ、それよりどお? 痛む? マコにも言ったんだけど、心配してたよ』
「ありがとう。痛みはね、薬と点滴が効いているみたいで、あの地獄のような痛みが嘘のようになくなった。少しキリキリとはするけど」
『お見舞いに行くよ』
「あ、いいわよ」
『なんでよ』
私は遠慮をしているのではなく、弥生と社長を合わせたくないのだ。
「むふふ……」
『いつも以上に気持ち悪い』
「水越沙耶、彼氏いない歴7年でピリオドです」
弥生の強い突っ込みにも私は怒らない。だって幸せだから。
『え~~~~!!』
声の大きさに私は、耳からスマホを離す。
「やっと、やっと……恋人出来ました!!」
誰も見ていない病室で、私はVサインを出す。
『まさかと思うけど……そのまさかの……?』
「「社長!」」
弥生と同時に社長の名前が出た。
『うそぉぉおおおお!!』
いったいどこで電話をしているんだろうと、心配するほど、弥生の声は大きかった。
「詳しい話は合った時にまた。とりあえず、恋人宣言とお願いしていた合コンは、全てキャンセルで。あ、病状の報告もね。じゃ」
一応、仕事中の弥生に考慮して電話をそそくさと切ったが、電話じゃ話し足りないのだ。
会ってから、何時間でも語りたい。だって私が恋人となった社長のことを話せるのは、弥生だけだからだ。
何年もの長い間、恋バナの聞き役で、話す側にはなっていなかった。私はいま、思う存分恋人の話をしたい。子供染みていると思われてもいい。飽きるほど話がしたいのだ。
ルンルン気分で、広い病室をスキップ。浮かれ気分も許して欲しい。
だけど至って元気な私は、嫌で仕方がないが、でもこの病室にはずっといたいと思う。
ホテルのスイートルームというのは、大げさじゃなくて、内装は温かなクリーム色でまとめられていて、とても落ち着く。
しかしそんな極楽な入院生活でも、どうしても嫌なのが食事だ。
「あ~ん、嫌だぁ」
下痢と少し嘔吐があった私は、短時間の絶食を強いられ、その後は、水分をとってやっとおも湯になった。胃腸系の病気はこれだから嫌だ。看護師さんからは、「徐々に固いご飯になりますよ」と言っていたが、まだ先だ。
今朝は、検温と問診を受けて、やっとシャワーが浴びられた。
「さっぱりした」
病院着といっても、かわいい花柄のパジャマで、気分がいい。退院時は持って帰れると看護師さんが教えてくれ、至れり尽くせりだ。
「お腹が空いた」
離乳食のような朝ご飯では、満足感もない。でもこうなってしまったのは、自分のせいだから我慢する。テレビを点けて観るけれど、グルメ情報ばかりで食べられない私は、みじめな気分になってすぐにテレビを消した。
「そうだ、弥生に電話しよう」
仕事中だと言うことは分かっていたが、入院してしまったことを真っ先に伝えていた弥生は、とても心配していた。「仕事中でもいいから必ず電話をして」と言われていたのだ。
いくらいつでもいいと言われていても、さすがに業務中はどうなのだろうと迷ったが、心配させたままはいけないのではと思い、ためらいつつも電話を掛けた。
やっぱり弥生は心配していてくれたようで、ワンコールで電話に出た。
「ごめん、仕事中に」
『いいよ、それよりどお? 痛む? マコにも言ったんだけど、心配してたよ』
「ありがとう。痛みはね、薬と点滴が効いているみたいで、あの地獄のような痛みが嘘のようになくなった。少しキリキリとはするけど」
『お見舞いに行くよ』
「あ、いいわよ」
『なんでよ』
私は遠慮をしているのではなく、弥生と社長を合わせたくないのだ。
「むふふ……」
『いつも以上に気持ち悪い』
「水越沙耶、彼氏いない歴7年でピリオドです」
弥生の強い突っ込みにも私は怒らない。だって幸せだから。
『え~~~~!!』
声の大きさに私は、耳からスマホを離す。
「やっと、やっと……恋人出来ました!!」
誰も見ていない病室で、私はVサインを出す。
『まさかと思うけど……そのまさかの……?』
「「社長!」」
弥生と同時に社長の名前が出た。
『うそぉぉおおおお!!』
いったいどこで電話をしているんだろうと、心配するほど、弥生の声は大きかった。
「詳しい話は合った時にまた。とりあえず、恋人宣言とお願いしていた合コンは、全てキャンセルで。あ、病状の報告もね。じゃ」
一応、仕事中の弥生に考慮して電話をそそくさと切ったが、電話じゃ話し足りないのだ。
会ってから、何時間でも語りたい。だって私が恋人となった社長のことを話せるのは、弥生だけだからだ。
何年もの長い間、恋バナの聞き役で、話す側にはなっていなかった。私はいま、思う存分恋人の話をしたい。子供染みていると思われてもいい。飽きるほど話がしたいのだ。
ルンルン気分で、広い病室をスキップ。浮かれ気分も許して欲しい。