5時からヒロイン
「いい子にしていなさい」
ラインの最後はそう書かれていた。まったく子供扱いして嫌になる。必要な物は全て買ってもらったけど、何をしたらいいか困るのが、仕事人の困ったところ。自由な時間の使い方が分からない。
昨日、スクリーンの操作の仕方を教わっていた。契約している動画配信のサイトを開いて、映画を選ぶ。
そこでびっくりしたのは、私が観た覚えがある映画は、5年も前だった。つい最近観たような気がしていたけど、月日は自分が思うより早く過ぎていたようだ。
「やっぱり、恋愛よね」
映画を観るなら、お茶とお菓子を用意しなくちゃ。キッチンでコーヒーを淹れようとして、止める。
「胃が悪いんだった」
食材のストックは豊富で、お茶も種類が豊富。まったく私より女子力が高いってどういうこと?
「何だか分からないけど、ハーブティーにしよう」
耐熱ガラスのティーポットにハーブを入れて、お湯を注ぐ。こじゃれたティーポットなんか持ってて怪しい。社長だったら、紅茶を入れて寛いでいる姿も想像できるけど、一杯の紅茶を飲むために、わざわざガラスのティーポットに淹れたりするだろうか。
「怪しくないんだけど、怪しいのが社長なのよね」
社長の言うことは信じると言ったけど、やっぱり嫉妬は胸のなかで渦巻く。私と同じように過去の女にもエスコートしたり、物を買ってあげたり、料理を作って振舞ったりしたんだ。
「止めよう、無駄な嫉妬は胃の痛みが再発しそうだから」
嫉妬で気持ちが行ったり来たりするのも恋愛の醍醐味かも。
クッションが最高のソファに、足を投げ出して座り、片手はハーブティーを持つ。
高給なサイドテーブルには、ティーポットのハーブティーが、キャンドルの小さな炎で保温されている。
スクリーンでは昔観たイギリスの恋愛映画が始まった。なんて優雅な時間なんだろう。
だけど、
「お菓子がない」
二時間の映画で口が寂しい。食材のストックを見たけど、お菓子はなかった。かろうじてナッツを見つけ、ぽりぽりとつまむ。
「社長にラインしよう」
お菓子がないこと、お菓子が食べたいこと、何時に帰って来るのかと、わがまま放題のラインを送る。社長からすぐに返信があった。
「早い!!」
ラインには、お菓子はないこと、お菓子は食べてはいけないけど、我慢が出来ないようだったら、ナッツとドライフルーツがあるからそれを食べていなさいとあって、定時で帰るから待っていなさいとあった。
「うふふ……」
にやけ顔でもう一度お菓子が食べたいと送ると、何か帰りに買って帰るよと返信がきた。
胸が騒いでときめいて、嬉しくて、じっとなんかしてられない。映画そっちのけで、ソファでぴょんぴょん飛び跳ねる。
すごい、すごい、恋ってすごい。フルマラソンを走ったみたいに(走ったことは無いけどね)、息が上がって心臓もバクバクしてる。それが一日中ずっと続くなんて、私の心臓はもつのか心配になるほど。
誰かに話したいもどかしい気持ちが、更に社長との秘密の恋を燃え上がらせる。
「社長~!! 大好き~!!」
大声で叫んでみたかった、この気持ち。誰にも迷惑はかけない大きくて広い家。
「はぁ~スッキリした」
落ち着いて映画を観始めれば、ストーリーが進みすぎて分からなくなっていた。
ラインの最後はそう書かれていた。まったく子供扱いして嫌になる。必要な物は全て買ってもらったけど、何をしたらいいか困るのが、仕事人の困ったところ。自由な時間の使い方が分からない。
昨日、スクリーンの操作の仕方を教わっていた。契約している動画配信のサイトを開いて、映画を選ぶ。
そこでびっくりしたのは、私が観た覚えがある映画は、5年も前だった。つい最近観たような気がしていたけど、月日は自分が思うより早く過ぎていたようだ。
「やっぱり、恋愛よね」
映画を観るなら、お茶とお菓子を用意しなくちゃ。キッチンでコーヒーを淹れようとして、止める。
「胃が悪いんだった」
食材のストックは豊富で、お茶も種類が豊富。まったく私より女子力が高いってどういうこと?
「何だか分からないけど、ハーブティーにしよう」
耐熱ガラスのティーポットにハーブを入れて、お湯を注ぐ。こじゃれたティーポットなんか持ってて怪しい。社長だったら、紅茶を入れて寛いでいる姿も想像できるけど、一杯の紅茶を飲むために、わざわざガラスのティーポットに淹れたりするだろうか。
「怪しくないんだけど、怪しいのが社長なのよね」
社長の言うことは信じると言ったけど、やっぱり嫉妬は胸のなかで渦巻く。私と同じように過去の女にもエスコートしたり、物を買ってあげたり、料理を作って振舞ったりしたんだ。
「止めよう、無駄な嫉妬は胃の痛みが再発しそうだから」
嫉妬で気持ちが行ったり来たりするのも恋愛の醍醐味かも。
クッションが最高のソファに、足を投げ出して座り、片手はハーブティーを持つ。
高給なサイドテーブルには、ティーポットのハーブティーが、キャンドルの小さな炎で保温されている。
スクリーンでは昔観たイギリスの恋愛映画が始まった。なんて優雅な時間なんだろう。
だけど、
「お菓子がない」
二時間の映画で口が寂しい。食材のストックを見たけど、お菓子はなかった。かろうじてナッツを見つけ、ぽりぽりとつまむ。
「社長にラインしよう」
お菓子がないこと、お菓子が食べたいこと、何時に帰って来るのかと、わがまま放題のラインを送る。社長からすぐに返信があった。
「早い!!」
ラインには、お菓子はないこと、お菓子は食べてはいけないけど、我慢が出来ないようだったら、ナッツとドライフルーツがあるからそれを食べていなさいとあって、定時で帰るから待っていなさいとあった。
「うふふ……」
にやけ顔でもう一度お菓子が食べたいと送ると、何か帰りに買って帰るよと返信がきた。
胸が騒いでときめいて、嬉しくて、じっとなんかしてられない。映画そっちのけで、ソファでぴょんぴょん飛び跳ねる。
すごい、すごい、恋ってすごい。フルマラソンを走ったみたいに(走ったことは無いけどね)、息が上がって心臓もバクバクしてる。それが一日中ずっと続くなんて、私の心臓はもつのか心配になるほど。
誰かに話したいもどかしい気持ちが、更に社長との秘密の恋を燃え上がらせる。
「社長~!! 大好き~!!」
大声で叫んでみたかった、この気持ち。誰にも迷惑はかけない大きくて広い家。
「はぁ~スッキリした」
落ち着いて映画を観始めれば、ストーリーが進みすぎて分からなくなっていた。