5時からヒロイン
「今週もお疲れ様」
「社長こそお疲れさまでした」
「帰るか」
「はい」
待ちに待った金曜日。残業もなく定時で会社を出る。
真っすぐにマンションへ向かうと思っていたけど、社長が運転する車は、マンションとは違う方向に向かっていた。
「どこかへ行かれるんですか?」
「そうだよ」
にやりと笑って意味深だが、何か期待させる笑いだ。
車は賑やかな街を通って、コインパーキングに入った。
「少し歩くよ」
「はい」
手を繋いだりなんかして、社員に見つかりはしないかとハラハラしたけど、裏通りに入って行き心配がないだろうと、繋いだ手を離して腕を組んだ。
「ここだ」
「ここ?」
ステンドガラスが印象的な白い扉。両開きのドアを開けると、正面にワイ字型の階段があった。宮殿の様だときょろきょろと店内を見渡す。
ドレスやフォーマルなスーツが並んでいて、ブティックなのだと思った。
「いらっしゃいませ、五代様」
白く大きなフリルの襟が付いたブラウスに、黒いロングのスカートを履いた女性が私達を出迎えた。
社長の名前を呼んだところを見ると、社長はこのブティックを利用しているのだろう。
さすがの私も、プライベートの行きつけまでは知らない。
「彼女に服を」
「畏まりました」
「社長?」
「デートをしよう」
私の両手を握って微笑む。なんてことない一言だけど、嬉しくて涙がでそう。
「どうぞこちらへ」
「行きなさい」
「はい」
女性店員に案内され、店内に入ると、素晴らしいドレスがずらりと並んでいた。ため息が出るとはことことで、うっとりとみとれてしまうしまう。
「五代様からはワンピースをというお話でしたので、何着かピックアップいたしました」
「はい」
もう、事前に言っておくなんてキザすぎる。
ラックにはワンピースが掛けられていて、私は真っ先にバービー人形のようなワンピースを手に取った。
「かわいい」
バレリーナが着るクラッシックチュチュのようなワンピース。色はブラックで肩がオフショルダー。袖が肘辺りまであって、クラシカルなデザイン。手触りがいいのはシルクだから。今の季節にはちょっと寒いけど、寒いのを我慢するのがファッション。
ふわりと広がったスカートは、少女の憧れ。30歳手前の女でも着たいと思うデザインだ。
「社長こそお疲れさまでした」
「帰るか」
「はい」
待ちに待った金曜日。残業もなく定時で会社を出る。
真っすぐにマンションへ向かうと思っていたけど、社長が運転する車は、マンションとは違う方向に向かっていた。
「どこかへ行かれるんですか?」
「そうだよ」
にやりと笑って意味深だが、何か期待させる笑いだ。
車は賑やかな街を通って、コインパーキングに入った。
「少し歩くよ」
「はい」
手を繋いだりなんかして、社員に見つかりはしないかとハラハラしたけど、裏通りに入って行き心配がないだろうと、繋いだ手を離して腕を組んだ。
「ここだ」
「ここ?」
ステンドガラスが印象的な白い扉。両開きのドアを開けると、正面にワイ字型の階段があった。宮殿の様だときょろきょろと店内を見渡す。
ドレスやフォーマルなスーツが並んでいて、ブティックなのだと思った。
「いらっしゃいませ、五代様」
白く大きなフリルの襟が付いたブラウスに、黒いロングのスカートを履いた女性が私達を出迎えた。
社長の名前を呼んだところを見ると、社長はこのブティックを利用しているのだろう。
さすがの私も、プライベートの行きつけまでは知らない。
「彼女に服を」
「畏まりました」
「社長?」
「デートをしよう」
私の両手を握って微笑む。なんてことない一言だけど、嬉しくて涙がでそう。
「どうぞこちらへ」
「行きなさい」
「はい」
女性店員に案内され、店内に入ると、素晴らしいドレスがずらりと並んでいた。ため息が出るとはことことで、うっとりとみとれてしまうしまう。
「五代様からはワンピースをというお話でしたので、何着かピックアップいたしました」
「はい」
もう、事前に言っておくなんてキザすぎる。
ラックにはワンピースが掛けられていて、私は真っ先にバービー人形のようなワンピースを手に取った。
「かわいい」
バレリーナが着るクラッシックチュチュのようなワンピース。色はブラックで肩がオフショルダー。袖が肘辺りまであって、クラシカルなデザイン。手触りがいいのはシルクだから。今の季節にはちょっと寒いけど、寒いのを我慢するのがファッション。
ふわりと広がったスカートは、少女の憧れ。30歳手前の女でも着たいと思うデザインだ。