5時からヒロイン
「船酔いもなくて安心したよ」
「乗り物酔いはしないんです」
「良かった」
クルーザーデートが終わり、下船するとリムジンが待っていた。来るときは社長が運転した車だったけど、帰りはリムジンだ。
確かにワインを飲んでいたし、運転なんかしたら、飲酒運転になってしまう。
二人で後部座席に乗って、私は腕を組んで肩に頭を乗せる。一時も離れたくないのだ。
車から見える景色もまたいい。今思ったけど、社長と一緒に見る景色ならなんでもいいのかも。
マンションに着いて車を降りると、夢のデートが終わる。
家に入ると、社長に抱きつく。
「楽しかったぁ」
「時間が取れなくて悪かった」
「また、言って。秘書なんですよ? 私」
今日のデートだって、忙しい最中に調べたり、予約をしたりしてくれたその時間も、私のことを考えていてくれたんだと思うだけで、嬉しい。
「強がりはよせ、寂しがり屋のくせに」
「え……?」
なに? 社長はなんて言ったの?
「俺が我慢をさせてしまってるんだな。悪い……」
「……」
やめて、涙がでそう。私が今の私を保っていられるのは、しっかりした女でいなくちゃという気持ちから。
いつでも誰かに寄りかかりたくてしょうがない自分を、社長秘書になってから自分の足でしっかりと立つと決めたのだ。
愚痴を言ったり、ぶつけたかった気持ちも封印して、自分をコントロール出来てこそ、キャリアを積む女だと思っていた。
「俺の前では甘えていいんだよ」
「社長はいつゆっくりするの? 私が癒してあげたいと思っているのに」
「沙耶がいてくれるだけでいいんだ」
「……」
もう限界。目に溜まった涙は、止めておくことが出来なかった。
「泣くな……泣かれると弱い……」
とても優しい顔で私にキスをする。
「何を食べたらこんな可愛い顔になるんだ?」
何ですって!?
社長のどこからこんなセリフが出てくるの? 腰砕けじゃなく一瞬、気を失ったはず。
次に受けたキスは、いつものキスと違う。私の足はぴょんと後ろに跳ねた。
キスは直ぐには終わらず抱き上げられ、寝室に向かう。
「沙耶、本当に美しい。周りが君を見ているのが分かったか?」
「いいえ」
だって私は、社長しか目に入らないし、社長以外の男は雑草よ。
社長は私を引き寄せ、熱い視線で見つめる。
「美しい」
そんな言葉を何度も言われたら、体温が上がってしまう。それは社長も同じだったみたいで、お互い求めあうように唇を重ねる。
「誰もが振り返るほど、君は美しかった」
「もうやめて……恥ずかしいから……」
私はみんなに言われたいんじゃなくて、社長にだけ言われたいのだ。他の人の言葉なんかいらない。
社長の首に腕を回して、キスを強請る。社長はそれに応えてくれるように、熱いキスを返してくれる。背中を社長の手が這い、私の熱量も上がってくる。
ジャケットを脱がして、ネクタイ掴んで引き寄せキスをする
背中を這っていた手が、ファスナーを降ろすと、シルクの軽いワンピースは、空気を含んで広がりながらゆっくりと、身体のラインを添って降りて行った。
「随分手慣れているんですね?」
「脱がせるのは得意だ」
嫌味で言ったのに、いとも簡単に返すのは、やっぱり慣れてる証拠。
「ふん」
膨れてそっぽを向くと、顎を掴んで唇を奪う。
キスを受けながらシャツのボタンを外すと、ベッドに押し倒される。
「忘れてるあの夜を、もう一度思い出させて……」
「あれはリセットだ」
「リセット?」
「愛してるよ」
その言葉を最後に、私は五代真弥の世界に引き込まれていった。
男としての熱い視線、私を欲しがる視線が全て私の物。
弥生がうまいことを言った。
「五つ星の男」
本当にうまいことを言う。大企業を動かし、下手したら政界まで動かす影響力がある男が、私の一言で服従するなんて、女冥利に尽きる。
「あ……もっと……」
「強請られるのは嫌いじゃない」
大胆になる私を、自分でも驚いている。でも社長はそれがいいみたいで、意地悪に焦らして楽しむ。でも最後には、愛の言葉を囁く。
「沙耶、愛してる」
焦らして意地悪だけど、許そう。
今夜は熱い吐息で、私を包んで欲しい。何回でも受け入れる準備は出来ている。長く熱い夜は始まったばかりだ。
「乗り物酔いはしないんです」
「良かった」
クルーザーデートが終わり、下船するとリムジンが待っていた。来るときは社長が運転した車だったけど、帰りはリムジンだ。
確かにワインを飲んでいたし、運転なんかしたら、飲酒運転になってしまう。
二人で後部座席に乗って、私は腕を組んで肩に頭を乗せる。一時も離れたくないのだ。
車から見える景色もまたいい。今思ったけど、社長と一緒に見る景色ならなんでもいいのかも。
マンションに着いて車を降りると、夢のデートが終わる。
家に入ると、社長に抱きつく。
「楽しかったぁ」
「時間が取れなくて悪かった」
「また、言って。秘書なんですよ? 私」
今日のデートだって、忙しい最中に調べたり、予約をしたりしてくれたその時間も、私のことを考えていてくれたんだと思うだけで、嬉しい。
「強がりはよせ、寂しがり屋のくせに」
「え……?」
なに? 社長はなんて言ったの?
「俺が我慢をさせてしまってるんだな。悪い……」
「……」
やめて、涙がでそう。私が今の私を保っていられるのは、しっかりした女でいなくちゃという気持ちから。
いつでも誰かに寄りかかりたくてしょうがない自分を、社長秘書になってから自分の足でしっかりと立つと決めたのだ。
愚痴を言ったり、ぶつけたかった気持ちも封印して、自分をコントロール出来てこそ、キャリアを積む女だと思っていた。
「俺の前では甘えていいんだよ」
「社長はいつゆっくりするの? 私が癒してあげたいと思っているのに」
「沙耶がいてくれるだけでいいんだ」
「……」
もう限界。目に溜まった涙は、止めておくことが出来なかった。
「泣くな……泣かれると弱い……」
とても優しい顔で私にキスをする。
「何を食べたらこんな可愛い顔になるんだ?」
何ですって!?
社長のどこからこんなセリフが出てくるの? 腰砕けじゃなく一瞬、気を失ったはず。
次に受けたキスは、いつものキスと違う。私の足はぴょんと後ろに跳ねた。
キスは直ぐには終わらず抱き上げられ、寝室に向かう。
「沙耶、本当に美しい。周りが君を見ているのが分かったか?」
「いいえ」
だって私は、社長しか目に入らないし、社長以外の男は雑草よ。
社長は私を引き寄せ、熱い視線で見つめる。
「美しい」
そんな言葉を何度も言われたら、体温が上がってしまう。それは社長も同じだったみたいで、お互い求めあうように唇を重ねる。
「誰もが振り返るほど、君は美しかった」
「もうやめて……恥ずかしいから……」
私はみんなに言われたいんじゃなくて、社長にだけ言われたいのだ。他の人の言葉なんかいらない。
社長の首に腕を回して、キスを強請る。社長はそれに応えてくれるように、熱いキスを返してくれる。背中を社長の手が這い、私の熱量も上がってくる。
ジャケットを脱がして、ネクタイ掴んで引き寄せキスをする
背中を這っていた手が、ファスナーを降ろすと、シルクの軽いワンピースは、空気を含んで広がりながらゆっくりと、身体のラインを添って降りて行った。
「随分手慣れているんですね?」
「脱がせるのは得意だ」
嫌味で言ったのに、いとも簡単に返すのは、やっぱり慣れてる証拠。
「ふん」
膨れてそっぽを向くと、顎を掴んで唇を奪う。
キスを受けながらシャツのボタンを外すと、ベッドに押し倒される。
「忘れてるあの夜を、もう一度思い出させて……」
「あれはリセットだ」
「リセット?」
「愛してるよ」
その言葉を最後に、私は五代真弥の世界に引き込まれていった。
男としての熱い視線、私を欲しがる視線が全て私の物。
弥生がうまいことを言った。
「五つ星の男」
本当にうまいことを言う。大企業を動かし、下手したら政界まで動かす影響力がある男が、私の一言で服従するなんて、女冥利に尽きる。
「あ……もっと……」
「強請られるのは嫌いじゃない」
大胆になる私を、自分でも驚いている。でも社長はそれがいいみたいで、意地悪に焦らして楽しむ。でも最後には、愛の言葉を囁く。
「沙耶、愛してる」
焦らして意地悪だけど、許そう。
今夜は熱い吐息で、私を包んで欲しい。何回でも受け入れる準備は出来ている。長く熱い夜は始まったばかりだ。