Moonlight memory【短篇】
その結果招かれた悲劇。
大事件であったため、イカロス追撃の模様はステーション内の巨大モニターに、その経過を中継されていた。
一斉攻撃を受け、黒い機体がその翼を焼かれていく様を俺はモニター越しに見ていた。
煌々と輝く月を背後に、無残な姿を晒し動きを止めた……その瞬間を。
その瞬間に、愛する人を失ったことに気付いた。
死ぬ気で止めればよかったと、胸を掻き毟り後悔しても遅い。
大切な幼馴染に次いで、心から愛した人を失った俺に、宙にいる理由などもうなかった。
その場所はもはや、痛みを覚えるだけの場所でしかなく、傷心を抱えて地上へ戻った。
忘れてしまいたい一心で。
あの日の光景を……
彼女のことを……
なのに
やはり、断ち切ることは出来なかった。