片思いウエディング~夫の不倫で!?離婚しましたが、コロナ禍で再婚して赤ちゃんを授かりました~

高木先生はひっ迫した治療現場に立ちながら、その合間を縫い、こうしてテレビに出て何度も皆に訴えていた。
でも、彼の言葉は全ての人には届いていない。懸命に感染者たちの治療に携わって、何度も何度もこうして皆に言葉を掛ける高木先生が凄く可哀想に思え、外出する人達の無神経さに一人で怒っていた。


「対岸の火事…皆そう思うキモチがあるんだな…隼也も偉大な父親を亡くして、辛いだろうな…」
高木先生の父親の高木隼介先生はまだまだ多くの人の命を救えた人。

「…周りに感染者が居ないと…身近には感じられないんだ。何処か違う場所で起きているコトだと思うんだ。そして、自分は大丈夫だ。感染しないと…思い込んでしまう…」

「そうですね…」

「コロナは唯の風邪だと言う人間も居る。でも、そうじゃない。ニューヨークで俺と凪斗はそう思った…自分の身に起これば…皆、否応なしに分かる…ウィルスの恐ろしさを」



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