蒼月の約束
第十六話

エルミアの門出を祝うような晴天になった。

昨晩に泣きすぎたせいか、目が腫れぼったくなっている。

それは、エルフたちも同じようだった。

リーシャを含め、サーシャもナターシャも目が赤くなっているが、それを表に出さないように精一杯明るく振舞っている。


「今日は何をされますか?」

リーシャがいつものように横に座り、お茶をつぎながら言った。

「昨日、アゥストリから聞いた話があるの」

今晩帰る前まで、自分に出来ることをやろうと決心したエルミアは三人の顔を見渡してから言った。

「新しい情報があるんだ」



図書室の床に座り込みながら、エルミアは三人に言った。

「アゥストリの本によると、水の精霊のアイテムは、プラネット・オーシャンにあるみたい」


リーシャがこの前の世界地図を広げ、場所を確認した。


「マーメイド岩のちょうど東の方ですね。
でもここは、海の生き物が生きづらいと嘆くほど厄介な海域です。
そこに生物がいるのでしょうか?」


「海の中に滝つぼがあって、その先に人魚の住む世界があるんだって」

エルミアが腕を組んだ。

「ただ、そこまでの行き方が問題なの」

「ただでさえ、ここは魔の海域と呼ばれる場所ですからね…」

サーシャが困ったように言い、エルミアは「だよね」と呟いた。

「例え、運よく溺れずにその滝つぼの場所までたどり着けたとしても、そこから、どうやって海の中へ入るか、ですね」

リーシャが地図から目を離さずに言った。

「その海についての文献があればいんですが」

そう言いながら、サーシャは立ち上がり本棚を調べ始めた。

「やっぱり人魚にならないと、無理なのかなあ…」

エルミアは(くう)(あお)いだ。

「他には何か仰ってました?」

隣でリーシャが顔を上げた。

「特には…」


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