蒼月の約束
どれくらいの距離落ちたのかは、分からないが、目を開くといつの間にか周りは真っ暗になっていた。
竜宮の使いの体が発する銀色の光がなければ、自分自身さえ見えないだろう。
さらに暗闇の先目指して、速度を落とさずどんどん深くへと、潜っていく。
後ろにリーシャがいなかったら、おそらく泣いているだろうと思うくらい、この暗闇は怖い。
「着きましたね」
こんな冒険など物ともしないリーシャは、落ち着いた口調で言った。
閉じていた目を開くと、少し先にぽうっと光が見えて来た。
それがどんどん近くになるにつれて、豆粒ほどの赤い塊は、巨大なお屋敷であることが分かった。
来るのを知っていたかのように、赤い竜宮城の前には、数人の着物を着た女人が立っている。
入り口と思われる場所に正確に到着すると、エルミア達が下りたのを見計らって竜宮の使いはその場からすぐに離れていった。
「戻って来るよね…」
彼らの後姿を不安になりながら見つめていると、入り口で待っている女性が挨拶をした。
一番派手なピンク色の着物を着て、髪を輪っかに結い、美しいサンゴの飾りを付けている。
「よくぞ、いらっしゃいました。地上の方」
そして、中に入るよう手招きをした。
エルミアは恐る恐る彼女に着いて行く。
その後ろにエルフ三人も続いた。