蒼月の約束
エルミアは、リーシャとナターシャの方に向いた。
「月の廻りを知る者は、なんて言ってた?」
ナターシャはちらりと王子の方を見て、王子が頷くのを確認してから暗唱し始めた。
「古代花の蕾が咲く季節は春。
春一番が吹いてから一か月の命。
月の石を持つ死火山の季節は夏。
夏一番の猛暑日に噴火し、その火山の底に眠る桃の石。
黄金のペガサスが飛ぶオーロラの季節は、真冬。
金色に光る粉雪が降る夜」
しばらく沈黙が流れた。
やっぱり、レ―ヴの言っていた通り、季節ごとによって見つかるアイテムが違う。
「お前の予言通り、水を先に攻めておいて正解だったな」
優しい瞳をエルミアに向けて、王子が言った。
「うん。次は、オーロラの日だね」
ナターシャの言葉を忘れないように、頭の中にメモする。
「女王もさすがに季節は操れまい。私たち同様、待つ必要がありそうだ」
エルフたちの間の緊張感が少し緩んだ気がした。
しかし、エルミアは今朝聞いた、助けを求める予言の声が気になっていた。
急ぎたいけど、何もできないよ…
聞こえるはずもない予言の声に向かって、エルミアは呟いた。