蒼月の約束

「サーシャ、もしかして…」

リーシャの声から、嫌な予感がするという気持ちが出ている。

「なになに。楽しそう!私も混ぜて~!」

ナターシャが無邪気に跳ねている。

全く読めないエルミアは、顔を上げたままぽかんとしている。

「ミアさま、王子の気持ちを確かめましょう!」

サーシャがエルミアの手を握って、強く言った。
目が闘志に燃えている。

「い、いや。あの…全然話が見えないんですけど」

隣でリーシャは大きなため息を吐いている。

「ミアさまは、私たちの言う通りに動いて頂ければ問題ありません」

頼もしそうに見せようとするサーシャの態度が、さらに不安を駆り立てる。

「私も頑張る!」

ナターシャと何やら相談し始めているのを横目で見ながら、エルミアは隣でさきほどのエルミア同様頭を抱えているリーシャにこそっと聞いた。

「大丈夫なの?あの子たちに任せて」

「ミアさまのために協力しますが、過度な期待は禁物ですよ」


そう言ったリーシャの瞳は、鋭く、そして悲しそうだった。


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