蒼月の約束
「ここでいいの?」
リーシャとの話もひと段落し、二人は図書館塔の前に来ていた。
「すぐにサーシャが来ると思います。その時にまた指示を聞いていただければ」
必死になって取って来たエターナル・フラワーの花束をエルミアに渡した。
「これを持って、ここでお待ちください」
「う、うん…」
それでは、と言ってリーシャはその場を離れた。
それと同時にサーシャが姿を現した。
「サー…」
と声を上げようとして、サーシャに静かにするよう合図された。
そしてエルミアの近くに来ると、耳元で言った。
「いいですか。私のことは、テンさまとお呼びください」
「テン…?」
「はい。そしてあたかも久しぶりに会うかのように会話をして下さいね」
言っていることがよく分からないが、エルミアは頷いた。
「ミアさま、お元気そうでなりよりです」
仰々しい態度で、サーシャは頭を下げた。
「一体、何をやっているの…?」
さきほど言われたことなど一気に吹っ飛んだエルミアは目を丸くした。
「ミアさま、私の言う通りに。劇の練習だと思って」
小声でサーシャが言い、エルミアは慌ててお辞儀を返した。
「は、はい。お久しぶりです。テンさま」