蒼月の約束

「お取込み中、すみません」

このまま押し負けるのではと危険を感じたその時、グウェンがいいタイミングで部屋に入って来た。

「呼んだ覚えはない」

エルミアから視線をそらさずに王子は冷たく言った。

「グウェン!」

ここぞとばかりにエルミアは、王子の下から這い出した。

「どうしたの?」

逃げ切ったかと思われたが、王子の素早い動きには勝てなかった。

「どこへ行く」

ぐいと引っ張られ、すっぽりと後ろから王子に抱きしめられる。


グウェンの顔がさらに険しくなった。

激しくエルミアを睨みつけてくる。


私が触ったんじゃないー!
私からは一切触ってません!!


そう言い訳したかった。


苛立ちを含んだ言い方でグウェンは口を開いた。

「ミアさまのお友達が、お見えです」

「友達?」

王子とエルミアの声がきれいに重なった。






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