蒼月の約束
「ああ、そのままで」
誰かを呼ぼうとしたが、さっきまでいたサーシャとナターシャの姿が見えない。
「れ、レ―ヴ…」
顔を動かさないようにしながらエルミアは言った。
両手が震え始めるのが分かった。
「落ち着いて。ぼくは君を傷つけたりしないから」
「で、でも王子を…!」
「だから落ち着いてってば」
少しイライラしたように幼い声は言った。
「感情の起伏は、女王の思うつぼだよ」
「なんで…?」
手を握りしめながら、突然、朦朧とし始めた意識と戦う。
「僕は命令に従っただけ。個人的な恨みはないよ」
声色からして嘘をついているのが見え見えだ。
「何を…」
エルミアが何か言おうとすると、レ―ヴはそれを遮った。
「雑談をしに来たんじゃない。よく聞いて。最近見る君のその予知夢、それは必ず現実になる」
一気にエルミアの顔から血の気が引いた。
「彼らを護りたかったら、僕と一緒に女王の城に来るんだ」
「や、やっぱり、女王の味方なの…?」
手の平に自分の爪を喰いこませながら、飛んでいきそうな意識に抗う。
「君に選択肢はない。大切なお友達を、セイレーンと同じ目に遭わせたくないならね」
「な…」
口を開いた瞬間、首の後ろに微かな衝撃が走り、エルミアはそのままカクンと倒れた。
深い眠りにつく手前で、レ―ヴの「今夜また、ここで会おう」という言葉だけが最後まで響いていた。
誰かを呼ぼうとしたが、さっきまでいたサーシャとナターシャの姿が見えない。
「れ、レ―ヴ…」
顔を動かさないようにしながらエルミアは言った。
両手が震え始めるのが分かった。
「落ち着いて。ぼくは君を傷つけたりしないから」
「で、でも王子を…!」
「だから落ち着いてってば」
少しイライラしたように幼い声は言った。
「感情の起伏は、女王の思うつぼだよ」
「なんで…?」
手を握りしめながら、突然、朦朧とし始めた意識と戦う。
「僕は命令に従っただけ。個人的な恨みはないよ」
声色からして嘘をついているのが見え見えだ。
「何を…」
エルミアが何か言おうとすると、レ―ヴはそれを遮った。
「雑談をしに来たんじゃない。よく聞いて。最近見る君のその予知夢、それは必ず現実になる」
一気にエルミアの顔から血の気が引いた。
「彼らを護りたかったら、僕と一緒に女王の城に来るんだ」
「や、やっぱり、女王の味方なの…?」
手の平に自分の爪を喰いこませながら、飛んでいきそうな意識に抗う。
「君に選択肢はない。大切なお友達を、セイレーンと同じ目に遭わせたくないならね」
「な…」
口を開いた瞬間、首の後ろに微かな衝撃が走り、エルミアはそのままカクンと倒れた。
深い眠りにつく手前で、レ―ヴの「今夜また、ここで会おう」という言葉だけが最後まで響いていた。