蒼月の約束
第三十六話
大事なもの。
それは一体なんだ。
自分の命に代えても惜しくないほど、凄く大切なもの。
それだけは分かっているのに、それが何なのかが全く思い出せない。
―…王子―
どこからか声が聞こえた気がした。
明るく呼ぶ自分を呼ぶ声。
エルミアか?
いや、違う…
エルミアは私を王子とは呼ばない。
―もう、王子!いい加減にしてください!―
まただ。
誰だ、一体…。