蒼月の約束

「でも、もう自己犠牲はやめて下さいね」

リーシャが険しい顔で言った。

「いつも無茶するんですから」

サーシャがそう言い、ナターシャが同感と頷いた。

「うん、もうしない」

最近の出来事にも、遠い過去のようにも感じる、冒険の日々。

「私ね、本当の名前を朱音って言うんだ」

「アカネさま」

三人が同時に言った。

「こちらの名の方がぴったりですね」

ソファーに座りながら、サーシャが淹れたピンク色のお茶を四人ですする。

体中に温かいものが流れ、気持ちが落ちつくのが分かった。


その時ドアがノックされた。

リーシャが扉を開けると、そこにはエルミアが立っていた。

シルクように滑らかな金色の髪に、淡い青い色の絹のドレスを身に纏っている。

エルフ三人も相当の美しさだが、エルミアの放つオーラは歌姫という名に等しいほど神々しい。

朱音は立ち上がり、みんなに声をかける。

「二人で話したいんだけど、いいかな?」

エルミア用のお茶も用意し、「何かあったらお呼び下さい」と三人は静かに部屋を出て行った。


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