蒼月の約束
朱音の言葉を無視し、ベッドに入りこむ王子。
ベッドの端に座っている朱音に向かって、ベッドをぽんぽんと叩く。
「グウェン…」
助けを求めるように朱音が言うと、グウェンは一応口を開いた。
「王子、婚前の身でベッドを共にするのはどうかと…」
「以前にもこういう事があったと思うが…?」
意地悪そうに笑う王子。
「あれは、例外でして…」
「そうそう。予言聞くためだったし、今回とは訳が違う…」
朱音も賛同する。
「婚約者もいるし、王と妃もいるし…」
「何を言ってるんだ…?」
王子がしびれを切らしたと朱音の腕を掴む。
「今はそんなことはどうでもいい。やっと私の元に戻ってきたんだ」
あまりに切ない声を出すので、それ以上は誰も抗議することが出来なかった。
「とりあえず、二人きりになるのは私たちの前だけにしてくださいね」
去り際にグウェンが言った。
「それから王さまや妃さまには絶対に内密でお願いしますよ。もちろんエルミア様にもです。分かっていますか、王子はこの国を担う方なんですよ。絶対に不祥事は…」
「分かっている」
王子のその言葉を聞いて、グウェンは電気を消し、やっと部屋を出て行った。