蒼月の約束
「今でも良き友人だ。フレイ、いやレ―ヴと言った方が分かりやすいか。レーヴと旅に出てから本来の目的を思い出したらしい。王宮にいるより世界を回り、困っているものを助けたいと、今は皆と旅をしている」
朱音が沈黙したのを見て、王子が楽しげに問う。
「さあ、もう質問は終わりか?」
まさか自分の為に王位を放棄し、あの過酷な精霊の道具探しを再度するとは…
どこまで無謀なんだ、この人は…
「バカ…。なんて無茶を…危険なことして…」
朱音は弱々しく王子の胸を叩いた。
「アカネ」
優しい声で名前を呼ぶ。
「お前を手にする為なら、私はどんな危険もいとわない」
スカイブルーの瞳が、涙が止まらない朱音の瞳を捕らえる。
死ぬほど望んでいた人が、狂いそうになるほど想った相手が、また目の前に現れた。
私たちはきっと離れられないのだろう。
彼は必ず私を見つけてくれるから。
「長く待たせたな」
その言葉が優しくて温かくて、言いたいことははまだ沢山あったのに、それ以上何も言えなくなってしまった。
END*