蒼月の約束

カーテンの隙間から明るい光が入ってきている。

窓の外から鳥が鳴いている声も、微かに聞こえる。



目を開けると、飛び込んでくるのは、もはやお馴染みのボルドー色の天蓋だ。

金色の刺繍が施された、豪華絢爛なベッドに横たわっていることに、少しずつ慣れて来た自分がいる。


空気のように軽い羽毛布団に埋もれながら、まどろみ、幸せなひと時を過ごす。


頭の中の声はもはや聞こえないが、言葉ははっきりと覚えている。


「精霊の書…」


エルミアはそう呟きながら、寝返りを打って、思わず小さな悲鳴を上げた。


上半身裸姿の王子が、隣で美しい彫刻のように眠っていた。


「え、え、え?」


パニックに陥っているエルミアは頭を抱えた。


なぜ、こんなことに…


透き通るような滑らかな肌。

そして程よくついた筋肉の体を目の前にすると、誰しもが自分に自信がなくなるではないだろうか。


また、私は悪夢を見ているの…?


なぜかキャミソール一枚でいる自分をどうにか掛け布団で隠そうとするが、頑張るたびに王子の布団がなくなって、綺麗な肌があらわになっていく。


なにこの状況~!

と、とにかく誰か助けて~



半泣き状態で、とりあえずベッドの外へ出ようとするが、この最悪なタイミングで王子が目を覚ました。
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