蒼月の約束
「はい。風の精霊からの予言は、エルフの王、つまり王子のお父様のみ受け取ることが出来ると言われています」
「つまり、王様以外が予言を聞くことは出来ないし、逆に自分たちから精霊を呼びだすことは出来ないってこと?」
「おそらく。精霊の呼び出し方は、ほとんどの方が知らないかと」
「ん~。じゃあなんでペガサスの黄金の羽根って言われたんだろう…」
「黄金の羽根…」
ナターシャはそう呟きながら、本棚に向かった。
「どっかで見たような…」
「その黄金の羽根を持つペガサスってどうやって見つけるの?」
どこかにヒントはないかと、ペガサスのページを適当にめくりながらエルミアは聞いた。
「それが…。分からないのです」とサーシャ。
「予言が下される前日にのみ姿を現す、特殊な生き物と言われていますので…」
「普通のペガサスの群れを探しても見つからないんだ?」
「見つかる可能性は、かなり低いです」
「あった!」
ナターシャが大声を出した。
「何が?」
ナターシャが本を持って戻ってきた。
開かれたページを三人がのぞき込む。
小指の爪ほどの小さい文字で、本の端の方に何やら書かれている。
よっぽど秘密にしたいのか、読ませる気はないのか、これを覚えていて、尚且つ見つけたナターシャを本気で凄いと思った。