蒼月の約束

「結局、何も見つからず…」

あのあと何時間も本とにらめっこしていたエルミアは、大きなあくびをした。

「精霊に関する情報って本当に少ないんだね…」

ベッドに寝転がりながら、赤い天蓋を見つめる。

純粋に精霊だけについて書いてある本はほとんどなく、一見関係ないと思われるような書籍の端の方に注釈のように、精霊の情報が書かれていたりする。

文字自体は読めないエルミアは、とにかく絵を見ながら関連があるかどうか判断していた。
長時間酷使した目が未だにちかちかする。


「また明日も頑張りましょう!」

明るくサーシャが言い、ナターシャが同意するように頷いた。


その時、ノックの音がして姿が見えなかったリーシャが入って来た。

「ミアさま、王子がお呼びです。寝室に来いとのことで」

途端にニヤニヤするサーシャとナターシャを横目で見る。


「用件は何か言っていた?」

「いえ。ただ、私たち三人も来いとのことです」


2人の奇妙な笑顔が消えた。

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