蒼月の約束
「あの…ミアさま」
リーシャが、エルミアにおかわりをつぎながら言った。
「あのこと、言わなくてよろしいんでしょうか?」
王子の視線が、リーシャからエルミアへと移った。
「なんだ?何かまた聞いたのか?」
鋭い視線が向けられる。精霊の書の場所が分からない今、当てにできるのはエルミアの聞く予言のみだ。
「ペガサスの黄金の羽根って知ってる?」
「なんだ…?」
何のことかさっぱり分からないという顔をしている王子に、今度はサーシャが頭を下げてから言った。
「僭越ながら、私が説明させて頂きます。
先ほど、ミアさまと共にそれについて調べておりました。
黄金の羽根には、風の精霊の呼び出し呪文が書かれているようです」
「それは本当か?」
王子がいきなり立ち上がったので、エルミアは驚いてお茶をこぼした。
「おそらく、精霊の呼び出し方法について詳しく書かれているのが精霊の書ではという結論に至りました」
エルミアの服を拭きながら、リーシャが言った。
「ただ、いつその予言の声が聞こえるのか分からないんだよね…」
みんなに期待される前に、自らエルミアは言った。
「初めに、予言を聞いたのはいつだ?」
王子のスカイブルーの瞳がエルミアに向けられる。