蒼月の約束
「最初…」


記憶の糸を手繰り寄せる。


「精霊の書を探せと、言われた時が最初だな?」


王子が助け船を出した。


「うん…。あの…数日寝込んでいた時だと思います…」


「私と一緒に寝ていた時だな」

あの日のことを思い出さないように頑張っていたのに、王子の次に放った言葉によって、結局赤面してしまった。


「では、今夜もそうしてみるか」


「はい?」

顔色一つ変えずに、とんでもない提案をしてくる王子に、思わず変なリアクションを取ってしまう。


「大丈夫だ、何もしない。あれは偶然だったのか、確認したいだけだ」


でも、二つ目の予言は、バルコニーに一人でいた時です…


なんて、寝る支度をするようにとリーシャ達に指示している王子に言う暇もなく、ただ時間だけが流れた。


ナイトガウンを置いて、側近のエルフ3姉妹たちは非情にも去ってしまった。


サーシャとナターシャは、やはりどこか楽し気にしていた。




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