蒼月の約束
「太古と鴉?」
目がぱっと開き、王子は体を起こした。
いつも上半身裸で寝る王子のため、目のやり場に困る。
「それだけしか…」
「なんとなく、場所が分かった気がする」
ナイトガウンに手を伸ばし、「グウェン、いるか」と少し声を張り上げて言うと、すぐにグウェンが部屋に入って来た。
「聞きたいことがある」
グウェンは礼儀正しく「はい」と言い、エルミアに頭を下げると王子の後ろについて出て行った。
二人が出て行ったと同時に、リーシャ、サーシャ、ナターシャが入って来た。
「また、予言を聞いたんですか?」
エルミアを部屋に連れて行きながら、リーシャが聞いた。
「うん。でも何か、よく聞こえなくて」
「何て聞こえました?」
「太古と鴉」
「なんですか、それ?」
サーシャが、エルミアの部屋のドアを開けながら言った。
「さっぱり分からないんだよね」
エルミアの部屋には、既に出来立ての朝食が用意されていた。
「でも、王子は何か掴んだみたい」
ソファーに座りながら、エルミアは考え込むように言った。